うしろの正面だーあれ



『楓、お前 タケルが好きか?』



『え…?』



思いがけない言葉に戸惑う楓。



『好きか嫌いかで言うなら、もちろん好きだよな?』



『うん…好きだよ。』



楓は頷きながら、少し小さい声で言った。



『じゃあ、それは どういう“好き”?』



『え…?』



二度目である隆史の質問の意味が分からず、楓は眉間に皺を寄せ、小首を傾げた。



『友達としての“好き”?
それとも、男として“好き”?』



隆史の“男として”という言葉に、楓は頬を赤らめた。



自分自身、よく分からないのだ。



タケルとは 小さいときから ずっと一緒にいて。



異性であると認識する前から一緒にいて。



毎日 手を繋いで学校へ行って。



…だけど いつの日か、右隣にタケルの姿は無くて。



呼び方も、“楓”とは呼んでくれなくなった。



だけど あの日、タケルの様子を見に行った あの日。



昔のように、“楓”と呼んでくれた…。



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