うしろの正面だーあれ



大見栄を切ってしまった楓はタケルに顔向け出来ず、会いたい気持ちを抑えていた。



隣の家である為、昔はよく互いの部屋の窓越しに話し合ったりもした。



タケルの部屋は 寝るとき以外いつでもカーテンが開いていて、思春期が来て タケルが楓のことを避けるようになっても、楓は こっそり部屋でのタケルの様子を伺っていたのだった。



だから、離れていても安心できた。



部屋でのタケルを知っていたから。



しかし、今、タケルの部屋には、光を拒むかのように日中でさえカーテンが閉まっている。



まるで、“お前から来い”とでも言うように――…



そう、タケルの姿を拝む術は ただひとつ。



自分から会いに行くしかないのだ。



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