うしろの正面だーあれ



辺りがオレンジ色に染まる頃、楓はタケルの家の前に居た。



もう何時間こうしているだろう。



インターホンを押す指を、出したり引っ込めたりしている。



そのとき



ガチャッ・・



突然 開いたドアに驚いて、楓は目を見開いた。



楓の視線の先に、怪訝な顔をして立っているのはタケルであった。



『…何してんの?』



タケルの問いに、楓は答えることが出来ない。



目は泳いで、手をもじもじさせるだけ。



それもそのはず。



自分でも何をしに来たのか分からないのだ。



ただ会いたかっただけ。



淋しくなっただけ。



しかし、一度告白している楓は、答えも貰っていない状況下でそんなことが言えるはずもない。



ひたすら俯いて、頭の中にある無数の引き出しを必死で開けては言葉を探す。



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