うしろの正面だーあれ
バタンッ
勢いにまかせてドアを閉め、外の世界から完全に遮断する。
誰の顔も見たくないのだ。
誰とも話したくない。
声を掛けることでさえ、されたくない。
と言っても、この家には今 楓しか居ないのだから、わざわざ自分の部屋に閉じ籠らなくてもいいと言えばいいのだが。
しかし、誰しも 自分の家には落ち着く場所というのがあるだろう。
楓にとっては、それが自分の部屋なのだ。
誰に開けられるわけでもなく、楓は鍵まで閉めてドアに背を預ける。
そして、そのまま体を下にスライドさせ、足を完全に床につけた、いわゆる女の子座りという形に落ち着いた。
しかし、これでは涙を流すにあたって 少しばかり不便である。
理由を求められると少し困るが、なんとなく落ち着かないはずだ。
楓もまた、その内の1人だったようだ。
床にペタンとついた足を立て、鋭角な三角座りを見せた。
その膝に顔を埋め、小さくなった楓は肩を揺らしながら、頬に伝う涙を膝に落とした。