うしろの正面だーあれ
隆史はタケルの元へ行き、彼の襟元を掴んだ。
『分かってんのか?』
ドスの効いた低い声で隆史は問う。
その態度に、抵抗する素振りさえ見せず、タケルは静かにその行為を受け入れた。
普通ならば畏縮しても おかしくはないが、タケルはそんな様子もなく、怒りに奮えた隆史をただ見ていた。
『分かってんのかって訊いてんだよ!』
何も答えないタケルに苛立ったのか、隆史はタケルの襟元を掴んだ手を揺さぶりながら、荒々しく言い放った。
その態度に、タケルは ようやく口を開いた。
『…何がだよ。』
『これが どういうことか分かってんのか!?』
隆史は、怒りではなく、必死で諭すように言った。
しかし、そんな思いも、次に発せられるタケルの言葉によって、虚しくも打ち砕かれる。
『分かってる。』