うしろの正面だーあれ
チィコは、本当は空を飛び回りたいのではないだろうか
こんな窮屈な鳥籠の中は嫌なのではないだろうか
人間のエゴなのではないだろうか
暗闇の中で、タケルはそんな風に思った。
チィ・・チィ・・
本当はチィコには恋人がいて、その歌声は、愛しい君を想って鳴いているのではないだろうか
『助けて・・助けて・・』
『好きよ・・愛してる・・』
窓に写った月は、色の濃い三日月で。
月明かりさえ届かない鳥籠の中、チィコは何を思って飛び回るのだろうか。
その日、タケルが眠りにつくことはなかった。