うしろの正面だーあれ



楓は駄々をこねたりせず、『うん!』と元気よく答えた。



タケルの顔は ひどく切なく、虚ろな瞳で、しかし何か、強い思いが宿っていた。



うっすらと滲む涙を瞳全体に伸ばし、タケルは楓に切なく微笑んだ。



別に“今から”でも良かったのだ。



しかし明日にしたのは、やはりタケルはチィコが好きで、もう少しだけ一緒にいたいという思いからだった。



その日、楓はタケル宅でお昼をよばれ、ずっとチィコを眺めていた。



隣で涙ぐむタケルの手を、そっと包みながら…。



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