うしろの正面だーあれ



『ねぇ、タケちゃん。
どこに放しに行くの?』



楓には少し大きすぎる鳥籠を両手で持ちながら、彼女は尋ねた。



『森の中。』



『森?』



『絵本で見たんだ。森には たくさんの動物がいるから、チィコもきっと淋しくない。』



『だけど…森は危ないから行っちゃダメだって、お母さん 言ってたよ…。』



『じゃあ楓は来なくていいよ。』



『…やだっ!』



『ならゴチャゴチャ言うな!』



『はい…。』



しょんぼりした楓に気付いたタケルは、慌てて言った。



『ほっ…ほら楓!森だぞ!』



『うわぁ…!』



目の前に立ちはだかるのは、彼らの何十倍もの高さの木々。



太い幹に長い年月を感じる。



その そびえ立つ木々の間を縫って、小さな小さな2人は どんどん奥へと進んでいく。



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