うしろの正面だーあれ



どれほど歩いただろう。



深い森の中、聞こえるのは木々のざわめきと鳥の声。



伸びきった枝が空を隠す。



光がほとんど届かない。



葉と葉の隙間を縫って届いた僅かな光だけが2人の歩を進める。



そのとき



ピピピ・・



今までとは違い、割と近くで鳥の声が聞こえた。



『楓!もうすぐだ!』



そう言ってタケルは、楓の手を掴み、走り出した。



『わっ…待ってタケちゃん…!』



『早く!』



それまで両手で抱えていた大きな鳥籠を片手で持つ。



しかも走るのだ。



そのときのチィコは、きっとパニくっていたに違いない。



そんなことまで頭が回らないタケルは、鳥の声が聞こえる方に、無我夢中で走るのだった。



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