うしろの正面だーあれ



ふと視線を落とすと、空になった鳥籠が倒れていた。



『これ…。』



父親が鳥籠を手に取った。



『あら。それ、あなたが買ってきたやつじゃない!…チィコは?』



『居ない…。扉が開いてたから、逃げたんだろ。』



『この子達、チィコを探しに こんな所まで…?』



『…かもな。
さぁ、早く帰ろう。』



父親は楓をおぶった。



『あっ…すみません。』



『いえ。その代わり、あれ、持ってくれます?』



そう言って、父親は後ろ向きになって鳥籠を指差した。



『もちろんです!』



楓の母は鳥籠に駆け寄った。



『さぁ、行きましょう。』



タケルの父は楓を、タケルの母はタケルを、そして、楓の母は鳥籠を運び、車の停めてある場所まで歩いたのだった。



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