うしろの正面だーあれ



『裏切り者…?何それ…。』



『………………。』



憂は何も言わず、先程まで力のなかった目が 力強い目であたしを見ていた。



『あたしが言ったとでも思ってんの…?ねぇ、憂…。』



『お前以外に言った覚えは無ぇ。』



『…だから あたしが犯人…?』



目に一杯 涙を溜めて、あたしは震える声で尋ねた。



そして、涙が一筋の道を描いたと同時に、憂の答えも聞かず、あたしは教室を飛び出した。



…今 思い出すと笑っちゃう。



うさん臭い三流ドラマみたいで。



ホント、自分に酔ってたとしか思えない。



可哀想な自分が、好きだったのかもしれない。



だから、あたしは…



教室に残された憂が、どんな思いで、どんな顔をして、どんな風に…あたしのことを思ったかさえ、あたしには分からない。



憂が涙を流したのかも、唇を噛み締めたのかも、爪の跡がつく程 拳を握り締めたのかも分からない。



あたしは憂に、酷いことをした――…



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