うしろの正面だーあれ
『憂…?』
左から声が聞こえた。
目線を左に移す。
…そこに居たのは兄貴だった。
俺が困っていると、ジョージさんが肩をポンッと叩いてくれた。
セイジさんは少し心配そうな顔で俺を見ていたけど、大丈夫だ、と目で応えた。
『…憂、あの人達は?』
『…俺を拾ってくれた人。』
だんだん小さくなる2人の背中を見ながら、俺は答えた。
『…そうか。でも…ヤクザじゃないのか?何かされたんじゃ…』
『されてねぇよ。
…そんな人達じゃない。』
『…そうか。
なぁ、沙良に会ったって?』
『…ああ。』
『…様子がおかしかった。携帯も あれ以来 繋がらなくて…。
家にも帰ってないみたいだから捜しに来たんだけど…。』
それを聞いた俺は、心臓にピリッと電流が走ったのを感じた。
腹の底で、何かモヤモヤしたものが うごめいている感じ。
『もうちょっと捜してみるから、もし見掛けたら電話して。』
『…ああ。』
『…あ、それと。』
駆け出した体をくるりと反転させ、兄貴は振り返った。