うしろの正面だーあれ
『…なぁ憂、帰るだろ?』
『帰らねぇ。』
『何で…
学校はどうするんだよ…。』
『兄貴には分かんねぇよ!』
『憂っ…!!』
背中から聞こえる声に振り返りもせず、俺は走り去った。
…兄貴には分からない。
昔から頭も良くて愛想も良い。
おまけに要領も良くて、俺はずっと兄貴と比べられてきた。
俺は兄貴とは違って頭も悪ければ愛想も悪い。
おまけに要領の悪いバカ。
不器用すぎる自分が もどかしい。
いつも、いつも傷付いてきた。
“まぁ〜 良く出来たお子さんだこと!…あら、弟さんの方は恥ずかしがりやさんかしら?”
“ほら、ちゃんと挨拶して!
…もう、ごめんなさいねぇ、愛想の悪い子で…。”
“一喜、またテストで100点取ったのか?すごいなぁ お前は。”
“あたし、一喜くんと付き合うことにしたの。”
―兄貴は俺の欲しいもの全部、全部持ってるじゃねぇか。
叔父さんと叔母さんにも可愛がられて…
これ以上、俺を苦しめないでくれよ…頼むから…。