うしろの正面だーあれ
俺は音も立てずに振り返ると、沙良の胸ぐらを掴んだ。
理解不能な沙良は、目を泳がせながら俺を見たり、目で稚早に助けを求めたりした。
そのSOSを受け取った稚早は俺の腕を掴み、なだめるように言った。
『どうしたんだよ。
お前、おかしいぞ?』
鋭い眼光を放つ俺の眼力に負けたのか、沙良は口を挟んでこない。
『…なぁって、憂!
お前は女殴るような奴じゃねぇだろ!殴るんなら俺を殴れ!』
そう言われた俺は、迷わず稚早を殴った。
…が、本当に殴ってくるとは思わなかったんだろう、稚早は 俺の渾身の一撃に尻餅をついた。
『稚早っ!』
それを見た沙良が稚早に駆け寄る。
『大丈夫?』と沙良。
『大丈夫。』と稚早。
俺は第三者として傍観している。
面白くもない三流ドラマを…。