うしろの正面だーあれ



目が覚めたとき、腕には点滴の針が刺さっていた。



「目が覚めた?」



声のする方を見ると、先程の刑事が丸椅子に座っていた。



「それじゃあ、早速 話を聞こうかな。」



「やめてください!」



突然 怒声がして、刑事が振り返ると、そこには看護士が立っていた。



「まだ体力が回復してないわ。」



「しかし…」



刑事が反論しようとするが、看護士がそれを遮った。



「ここは病院です!
患者さんが病気を治すための場所!それを妨げる方には出て行って頂きますよ!」



怒鳴られた刑事は、しかし もっともだと思い、沙良に話を訊くのを止めた。



「…気分はどう?」



先程とは うってかわって、優しい声で看護士は尋ねた。



「だいぶマシになりました…。」



「そう、よかった。」



「あのっ…!
憂は…大丈夫なんですよね…?」



沙良が思い詰めたように訊くと、看護士は少し困った顔をして言った。



「…今、ここで私が大丈夫だって言うのは簡単だけど…実際は、彼の気力と体力の問題ね…。」



看護士の言葉に、沙良は俯いた。



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