うしろの正面だーあれ
「はいっ!じゃあ、お見舞いはまた明日ね。ほら、出た出た!」
看護士に追い出され、沙良は自分の病室へと戻った。
ガラッ
「…あれ。」
病室には、咲子と朝子、それに隆史が居た。
「来てくれたんだ〜!
ごめんね、居なくて。」
沙良が言うと、朝子は心配そうに尋ねた。
「ちょっと、大丈夫なの?」
「うん…大丈夫だよ…。」
そう言って、沙良は左手を隠した。
しかし、それを朝子は見逃さなかった。
沙良の左手を取り、包帯の上から優しく撫でる。
そして、自分の左手首にはめてあったリストバンドを外し、沙良の左手首につけた。
「…あたしも気持ち、解るからさ。」
へへっと笑って、朝子は自分の左手首を見せた。
そこには、何十もの切り傷が、縦横無尽に刻みつけられていた。
沙良はハッと口を押さえ、朝子を見る。
そして、朝子は話し始めた。