うしろの正面だーあれ



「はいっ!じゃあ、お見舞いはまた明日ね。ほら、出た出た!」



看護士に追い出され、沙良は自分の病室へと戻った。



ガラッ



「…あれ。」



病室には、咲子と朝子、それに隆史が居た。



「来てくれたんだ〜!
ごめんね、居なくて。」



沙良が言うと、朝子は心配そうに尋ねた。



「ちょっと、大丈夫なの?」



「うん…大丈夫だよ…。」



そう言って、沙良は左手を隠した。



しかし、それを朝子は見逃さなかった。



沙良の左手を取り、包帯の上から優しく撫でる。



そして、自分の左手首にはめてあったリストバンドを外し、沙良の左手首につけた。



「…あたしも気持ち、解るからさ。」



へへっと笑って、朝子は自分の左手首を見せた。



そこには、何十もの切り傷が、縦横無尽に刻みつけられていた。



沙良はハッと口を押さえ、朝子を見る。



そして、朝子は話し始めた。



< 516 / 675 >

この作品をシェア

pagetop