うしろの正面だーあれ



翌日――



杏奈は荒れていた。



理由は分からない。



しかし、誰にも手がつけられない程 荒れていた。






「はい、じゃあ ここ読んでくれる?えーと…高井戸さん。」



現国の教師が言うと、杏奈はドスの効いた声で言った。



「は?意味分かんないんですけど。何であたしがアンタの為に読まないといけないわけ?」



「え…」



若い女教師の目は泳ぐばかり。



「…ほら、今日は8日だから…」



「あたし18番だし。」



杏奈がすかさず言う。



「う…うん、そうね。でも、8番の亀地さんがお休みだから…」



バンッ



教室中が静まり返った。



寝ていた者は、何事かと飛び起きた。



「あたしがアイツの代わりだって?」



杏奈は両手を机につけたまま、教師を睨みつける。



教師の目は、泳ぐばかり。



異様な空気の中、口を開く者は居なく、お互い顔を見合わせては首を傾げるだけだった。



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