うしろの正面だーあれ



「皆、静かに!
えっと…じゃあ瀬崎くん、読んでくれるかな…?」



「………………。」



「あの…瀬崎くん…?」



だんだん不安になる教師の顔からは冷や汗が流れている。



コンッ



「てっ!」



「当たってるよ!」



朝子が投げた消しゴムは見事 命中し、隆史に口パクで教えた。



「へ…?」



「瀬崎くん…86ページの5行目から、読んでくれるかな…。」



教師はヘロヘロになりながら、隆史に言った。



「あ?あぁ、はい。」



そう言って、隆史はギィ・・と椅子を膝の裏で押し、立ち上がった。



「えーっと、5行目…。
日本の経済は何とかしく…」



「著しく、ね。」



「いちじるしく…」



クスクスと笑い声が聞こえる。



「今まで憂派だったから気付かなかったけど、瀬崎くんって結構かっこいいよね。」



「ね〜!思ったぁ!」



そんな声が、時折 隆史の朗読する声に重なって咲子の耳に届いた。



< 522 / 675 >

この作品をシェア

pagetop