うしろの正面だーあれ
「皆、静かに!
えっと…じゃあ瀬崎くん、読んでくれるかな…?」
「………………。」
「あの…瀬崎くん…?」
だんだん不安になる教師の顔からは冷や汗が流れている。
コンッ
「てっ!」
「当たってるよ!」
朝子が投げた消しゴムは見事 命中し、隆史に口パクで教えた。
「へ…?」
「瀬崎くん…86ページの5行目から、読んでくれるかな…。」
教師はヘロヘロになりながら、隆史に言った。
「あ?あぁ、はい。」
そう言って、隆史はギィ・・と椅子を膝の裏で押し、立ち上がった。
「えーっと、5行目…。
日本の経済は何とかしく…」
「著しく、ね。」
「いちじるしく…」
クスクスと笑い声が聞こえる。
「今まで憂派だったから気付かなかったけど、瀬崎くんって結構かっこいいよね。」
「ね〜!思ったぁ!」
そんな声が、時折 隆史の朗読する声に重なって咲子の耳に届いた。