うしろの正面だーあれ
キーンコーンカーンコーン・・
キーンコーンカーンコーン・・
悪夢のような1時間が終わり、どっと疲れた教師は一目散に帰っていった。
「ねぇ、交換しよ♪」
数人の女子生徒が隆史の周りを囲み、携帯をチラつかせている。
「…あぁ、悪ィな。携帯忘れた。」
「え〜 そうなの?
じゃあ明日教えてね!」
そう言って、女子生徒は少し残念そうに自分の席へと帰っていった。
くるりと振り返った隆史と目が合った。
咲子はバッと、わざとらしく目をそらしてしまった。
「咲子 咲子!」
音を出さずに咲子を呼ぶ隆史。
目線を隆史に戻す。
隆史の手には、ポケットから少しだけ出した携帯が掴まれていた。
ニカッと笑う隆史。
咲子の頬は色付き、胸はキュンと切なくなる。
騒がしい教室の中、確かに2人だけの時間が静かに流れていた。