うしろの正面だーあれ
そうこうしている間に授業は全て終わり、隆史は病院に向かっていた。
咲子達は誘わなかった。
院内に入ると、病院独特の匂いがした。
「すいません、鶴見 憂の病室なんですけど…。」
ナースステーションで教えてもらい、礼を言って病室に向かった。
「…れ?」
院内は広い上、複雑な構造になっている。
どうやら迷ってしまったようだ。
「瀬崎 隆史くん…。」
後ろから低い声で名前を呼ばれ、隆史はバッと振り返った。
そこには、ベージュのロングコートを羽織った男が立っていた。
「………………。」
鋭い眼光で睨みつける隆史。
「…ははっ
怪しい者じゃない。」
そう言って、男は警察手帳を提示した。
「………………。」
隆史は、なおも睨み続けている。
「何で俺の名を…?」
その問いに、男は少し黙っていたが、やがて口を開いた。