うしろの正面だーあれ



振り返ると、そこには沙良が立っていた。



「隆史くん…。憂のお見舞い、来てくれたんだ…。」



「ああ、後でお前んとこも寄るつもりだったんだけど…。」



そう言うと、沙良はニッコリ笑って「ありがとう。」と言った。






「…これ、亀地が?」



そう言って、隆史は折り鶴を指でつまんだ。



「あ、そう。あたしが作ったの。
青が憂でピンクはあたし。
黄色は…一喜くん…。」



「………………。」



「ホントはね、悪い人じゃないの。憂のことも大切にしてたし、あたしにも優しくしてくれた。
…憂も、一喜くんが大好きなの。
大好きだから、助けたい…。
…そう思って、あの日…」



「亀地…。」



「…憂は、あたしも一喜くんも、両方 救おうとしてくれたの。」



そう言って、沙良は黄色の折り鶴とピンクの折り鶴を手に取った。



その瞳は涙に濡れていたが、流すことは決してしなかった。



隆史は、そんな彼女を見つめることしか出来なかった。



< 530 / 675 >

この作品をシェア

pagetop