うしろの正面だーあれ
ガラッ・・
突然 開いた病室の扉に、隆史はバッと窓の方を向き、涙を拭った。
憂の病室を訪ねたのは朝子であった。
隆史の、今の行為だけで状況を悟った朝子は、遠慮がちに声を掛けた。
「隆史…。」
「お〜 朝子!
どうした?見舞いか?」
鼻声で、わざと明るく振る舞う隆史に、朝子はいたたまれない表情で彼を見つめた。
「…まだ目 覚めないの?」
強がりな隆史にとっては、気付かぬフリをすることも優しさなのだと解し、憂の容態について尋ねた。
「…ああ。」
「…そう。
沙良はもうすぐ退院できるみたい。…鶴見も、早く意識戻るといいね。」
「…ああ。」
隆史は、今尚ベッドで眠る憂を見つめながら答えた。
「…もし、鶴見の意識がこのままだと、沙良、可哀想だよ…。
あの後から、沙良のこと、敬遠し出してる子達も少なくない…。」
あの後、とは、沙良が教室で戻してからである。
「…お前はダチだろ?」
隆史の、まるで当たり前だろ?とでも言うような問いに、朝子は少し驚いた表情を見せたが、やがて照れ臭そうに「…まぁね。」と言った。