うしろの正面だーあれ
「…気を付けなよ。」
「…え?」
突然の朝子の言葉に、隆史は理解出来ずにいた。
それもそのはず、前後の会話から、全く繋がらない言葉なのだ。
「…あんたのことだから何かやろうとしてるのかもしれないけど。
…悲しむのは あんたの周りにいる人達なんだからね…。」
少し寂しげに俯いた朝子の横顔を、隆史は揺れる瞳で見た。
「1人で抱え込んで…。最後に泣くのは咲子なんだからね…。」
朝子の言葉が、隆史の心…いや、体中を貫いた。
それ程までに、彼女の言葉は正確で、微塵の狂いも無かった。
…本当に、彼女には未来が見えているのでは…、と疑う程に。
「…そろそろ帰るね。」
「あ、あぁ、そっか。」
朝子は、病室の扉の前で立ち止まった。
「…ねぇ、隆史。」
「ん?」
「過去に戻るにはどうすればいいの?」
「!」
「…ばいばい。」
朝子は、隆史の答えを聞かずに帰っていった。
「何なんだよ…。
…単なる偶然か?それとも…」
朝子の居た場所を見つめながら、隆史は呟いた。