うしろの正面だーあれ
縁から落ちたボールは、斜めに落下…
ゴールのネットはボール型に歪み、出口から落ちた。
「は…入った…!」
「やり〜!」
そう言って、隆史はネットの下から手を出した。
咲子は少し躊躇いながらも、軽く手を叩き合わせた。
たった一瞬でも、隆史の体温を感じた。
掌が大きかった。
たったそれだけで心臓は高鳴り、頬は色付く。
「…やれば出来んじゃん!」
隆史がニカッと笑えば、何だって出来る気がした。
それくらい、咲子にとって隆史は、“希望”だった。
憧れる、人として。
生きてみたい、あなたとなら。
あなたが
世界は綺麗だと言うのなら
私もそれを信じましょう。
咲子にとって彼は“生きる意味”
“生きる理由”そのものだったのかもしれない。
いつの日か、それ程までに、彼への想いは膨れ上がっていた。