うしろの正面だーあれ
すぐにそらせばいいのに…
じっと見つめるから。
隆史は、咲子を抱き寄せた。
咲子は驚くどころか、意外にもそれを受け入れた。
少しの間 黙って抱きしめらていたが、やがて隆史が静かに口を開いた。
「…前、言っただろ…?」
「うん?」
「2人は両思いだけど、思いを伝えられない不器用で…って話。」
「うん…。」
「二度と会えなくなるのに、本当に思いを伝えるべきなのかって…。」
「うん…、覚えてる…。」
次の言葉を言うのに少し躊躇った。
ぎゅっと、抱きしめる力が強くなる。
「…あの話…よく考えたら俺達のことでもあったんだよな…。」
バチッ・・とテレビが消えたかのように
咲子の耳に、一切の音が届かなくなった。