うしろの正面だーあれ
数学のプリントと格闘していると、咲子は空気が変わったことに気付いた。
異世界に、居る感じ。
此処だけ、別の空間…そんな感じ。
周りの音が、くぐもって聞こえる。
『そこ、間違ってるよ。』
「…え?」
咲子が顔を上げると、朝子や隆史も顔を上げた。
「どうしたの?咲子。」
朝子が小首を傾げて訊く。
世界は、戻っていた。
「な…んでもない…。」
気のせいか、と、咲子は再びプリントに目を落とした。
「…あれ?」
先程 書いた答えとは違う答えが、プリントに書かれている。
少し、ゾワッとした。
何なのだ。
…小学生だった頃の、あの感じ。
生きている心地がしなかった日々。
もう二度と…同じ様な体験などしたくない…、そう思っていたのに…