うしろの正面だーあれ
『…ねぇ、今なら殺れるよ。』
賑やかな教室の中、決して大きくはないその声が、やけにはっきりと聞こえる。
『早く殺りなよ。
さっきみたいに…。』
やだ…
『ほら、今度はちゃんと頭を狙うんだよ。』
やめて…
『早く殺れって!』
「やっ…」
ガラッ
教室の扉が開き、クラス全員が彼に注目した。
その視線に驚き、隆史は一瞬 立ち止まったが、やがて口を開いた。
「…何だよ、そんな見つめんなって。照れんじゃん。」
隆史が言うと、教室のあちらこちらから心配そうに声を掛けるのが聞こえてきた。
それに応えながらも、隆史は咲子達の元へ戻った。
「大丈夫か?」
咲子達にしか聞こえない程度の声で、隆史は心配そうに尋ねた。
隆史が戻ってきた安心感に、咲子は泣きそうな顔で彼を見つめた。
そんな咲子を、隆史は優しく撫でてやった。