うしろの正面だーあれ



「咲子は?誘わないの?」



沙良が訊くと、隆史は切なげに頷いた。



「憂が会いたいのはお前だからな…。」



そう言って、隆史は優しく、しかしどこか哀しそうに微笑んだ。



それに沙良も困ったような笑顔で応え、俯いた。



「…一喜くん、どうなっちゃうんだろ…。」



ぽつりと呟いた言葉が、左手首のリストバンドに吸い込まれた。



「亀地…。」



「憂の意識が戻ったら、罪も軽くなるよねっ!」



空気を悪くさせまいと、沙良は無理に明るく振る舞った。



そんな沙良に掛ける言葉が見つからなかった。



憂は今日、死ぬのだから。



15分後、世界から存在を消してしまうのだから…。



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