うしろの正面だーあれ
残り10分が過ぎた頃だろうか。
隆史は静かに立ち上がり、「行くか。」と言った。
コクリと頷き、沙良も立ち上がる。
病院に向かう道のり、どんなに沙良が話し掛けても、隆史は軽く相槌を打つ程度だった。
病院内に入り、エレベーターに乗り込む。
扉が開くと、明らかに下の階とは状況が違った。
廊下を慌ただしく駆ける看護士の姿。
彼らの向かった先は…
チラリと沙良を見る。
表情が、無かった。
時間が止まっている。
彼女の中でだけ、世界が終わってしまったかのように。