うしろの正面だーあれ



瞬間、沙良は駆け出した。



陸上選手のように、それは速かった。



風が、隆史の頬をかすめる。



虚ろな目で彼女の姿を追う隆史は、根が生えたように動かない足を、ゆっくりと一歩 踏み出した。



気持ちが焦る。



身体と心が分離したような、そんな感覚。



身体が言うことを聞かない。



しかし、次の瞬間、身体を動かさざるを得なかった。



泣き叫ぶような悲痛な声が



親友の名を呼ぶ声が



親友の病室から聞こえた。



…いや、聴こえた。






足がもつれ、転びそうになりながらも隆史はどうにかして病室に辿り着いた。



そこで見たものとは…



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