うしろの正面だーあれ



やがて、医師も諦めたように全ての行動を止め、腕時計に目を落とした。



この世での存在に、終わりを告げられた。



途端に涙が溢れ出す。



親友と呼べる者の死。



隣で息を荒くして泣きじゃくる彼女にとっては、最愛の者の死。



どうして



どうして運命から逃れられるというのか。



運命とは最初から全て決まっているもの。



偶然ではなく必然。



そんな運命に1人だけ。



この場でたった1人だけ抗がう者が居るとすれば、それは間違いなく隆史であった。



しかし、彼は運命に背かなかった。



運命に、従ったのだ。



苦渋の決断。



幾度となく葛藤したであろう。



迷いさえ見せた。



しかし、彼は運命を変えなかった。



愛する人の為に。



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