うしろの正面だーあれ



それからのことは、よく覚えていない。



心が空っぽで、流れていく景色をただ見ていた。



しゃくりあげる亀地の背中を、ただ なだめるように擦った。



数分前に着いた憂の叔父夫婦が、俺達の目の前で泣き崩れている。



その光景を、俺は虚ろな目で見ていた。



「あたしがっ…」



不意に下から声が聞こえ、視線を落とす。



「あたしが居なかったら憂はっ…
憂は…死ななかったのにっ…!」






泣きじゃくりながら叫ぶ沙良に、隆史は沙良の肩を掴んで正面を向かせる。



「今、もしもの話 したって意味ねぇだろ!憂がお前を守ったことまで後悔させる気か!?」



その瞳は真っ直ぐで、キツイ言葉が沙良の弱い心を貫いた。



途端に涙が溢れる。



今までの涙とは、別の涙が。



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