うしろの正面だーあれ



ぼぅっとしていたからだろうか。



授業が終わるまで、さほど長くは感じなかった。



真っ直ぐ家に帰り、早めの晩御飯を食べ、通夜へ行く準備を整える。



制服のシャツは一番上まで留め、腰までずらしたズボンも今日はきちんと履く。



それが、隆史なりのせめてもの誠意だった。



唇を噛み締めて、前に保健室で怒られている憂を撮った写メを見つめる。



画面ごしの憂は、1枚目は苦笑い。



2枚目は、隆史に気付き、呆れたように怒っている。



3枚目は、隆史の背中に乗った沙良に気付き、心配顔。



どれも臨場感に溢れていて、あの日の記憶が鮮明に蘇る。






不器用で、馬鹿で、人間不信で。



あまのじゃくな、俺の親友。



だけど。



愛する人に想いを伝えて。



それでも、兄貴を傷付けたくなくて。



愛する人を、命を賭けて守った…最高にかっこいい、俺の親友。



その親友を、俺は守れなかった…。



…いや、守らなかった…。






隆史の脳裏に、後悔という2文字が押し寄せる。



噛み締めた唇を伝って、一筋の涙がこぼれ落ちた。



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