うしろの正面だーあれ



「…ここや。」



そう言ってジョージが扉を開くと、くぐもった鈴の、カランカランという音が聞こえた。



「ママ、ええか?」



ジョージが言うと、カウンターの下からヒョコッと顔を出し、厚化粧の女性がガラガラ声で言った。



「あらっ!ジョージ!
セイちゃんも!
うふふ、今日も男前ね〜。」



つつ…とセイジの顎をなぞる。



ゾワッと体中の毛が逆立ち、鳥肌が彼を襲った。



「…あら?その娘は?」



チリチリの茶髪をかきあげて、ママは尋ねた。



「あぁ、憂の これや。」



そう言って、ジョージは小指を立てた右手を左手で隠しながらママに見せた。



「あら〜ん♪」



ニヤリと笑い、「ふぅ〜ん…」と鼻を鳴らしながら、舐め回すように沙良を眺めた。



< 628 / 675 >

この作品をシェア

pagetop