うしろの正面だーあれ



少し落ち着いて、沙良は綺麗なカクテルに目をやった。



透き通った淡いピンク色のそれは、涙で腫れた沙良の目を癒した。



カクテルグラスの細い足を取り、割れそうに薄いグラスに口をつける。



甘い味が口全体に広がった後、アルコール独特の風味が後を引く。



「…それ飲んだら帰りや。」



横からジョージが口を挟む。



彼の前には、大量のチョコレートの包み紙が、折り鶴となって羽ばたいていた。



その折り鶴が



三羽の折り鶴とダブった。



青と、黄色とピンク色



ひとりぼっちになった一羽。



青も、黄色ももう居ない。



虚しさが込み上げてくる。



枯れたはずの涙が再び込み上げ、ぐぐっと我慢したにも関わらず頬を伝った。



明日で、もう二度と愛する人の顔を拝むことは出来なくなる。



写真の中でしか、もう…。



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