うしろの正面だーあれ



焼香も全て終わった頃、一度 会場の外に出された。



スタッフなのだろうか、供えられた花を、片っ端から切っていく。



周りから花が消えた頃、再び会場内へと呼び戻され、一握りの小さな花束を渡された。



憂の棺に入れる為の花束を。



沙良は、一歩をなかなか踏み出せないでいた。



後ろの方で、足にぐっと力を込めては緩めを繰り返した。



誰もが花束を棺に入れ終わった頃、女性スタッフにポンッと背中を押された。



周りの者が、皆 見ていた。



そんな中、沙良は一歩、また一歩とゆっくり歩いていく。



憂の顔が見えたとき、一瞬ドキリとした。



まだ、死んだのは憂ではないと心のどこかで思っていたのだろうか。



まだ認めたくないのだろうか。



まだ……






沙良は、憂の1番近いところに花束を置いた。



涙が、落ちた。



棒付きキャンディーを取り出す。



「いつか…さ…、一緒にっ…食べよ…ね…。」



そう言って、沙良は棒付きキャンディーを2つ、棺の中に入れた。



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