うしろの正面だーあれ
病院内にある、黄緑色の公衆電話のボタンを押す。
キヨの両親に連絡する為に。
ボタンを押す手は震えて、上手く押せない。
手に力が入らない。
少し強めに押さないと入力できないそのボタンが、これほど押しにくい物だとは今まで思いもしなかった。
プルルルル・・
なんとか繋がった。
『もしもし?』
『私、咲子です…。』
『咲子ちゃん!?
今、どこにいるの?咲子ちゃんのお母さんも心配してらっしゃったわよ。
うちのキヨも一緒なの?』
『あの…』
『どうしたの?』
『今…病院で…』
『病院!?怪我でもしたの!?』
『あ…の…
キヨちゃんが…』
『…わかりました。
すぐ行きます。』
キヨの母親の声は、先程までとは違い、落ち着き払った冷たい声だった。