うしろの正面だーあれ
きっと、ショックすぎて声に感情を込めることも忘れてしまったのだろう。
小学生の咲子にも、なんとなく分かった。
バタバタバタ・・
荒々しい足音。
幾つもの足音が重なる。
『咲子!!!』
呼ばれて、肩を震わせた。
今にも泣きそうな情けない顔。
『もう!心配したじゃないの!』
母親の言葉は叱っていたが、声は心配していた。
『ごめんなさい…。』
『…キヨちゃんは?』
『まだ…』
『そう…。』
咲子の母親の後ろには、キヨの母親が祈るように手術中の赤いランプの文字を見ていた。