うしろの正面だーあれ



棺の中に入っているキヨを、咲子と隆史は見た。



『………………。』



初めて見る死んだ人間。



美津と義孝の葬儀には、怖くて行けなかった。



だから、キヨが初めてなのだ。






死んだ人間なんて美しいわけがない。



紫色の死斑



むくんだ顔



色の無い唇…



思わず顔を背けたくなるほどだ。



これが“死”というものなのか…



こんなに醜くなるものなのか…






2人の頬に温かいものが流れた。



それは、紛れもなく生きた人間の温度だった。



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