うしろの正面だーあれ



『私…手術中、夢見てた。』



朝子が呟くように言った。



『夢…?』



『キヨに、あの世に連れて行かれそうになって…
よく覚えてないけど。』



『それ、夢じゃないよ!』



『え…?』



『私、見たもん!
幽霊になった朝子ちゃんとキヨちゃんがケンカして…』



『ケンカして…?』



『…仲直りした。
それでキヨちゃんが天国に逝ったの。』



『本当…?』



そう尋ねる朝子の目からは今にも涙が溢れ出しそうだ。



『うん…。』



『あ…思い出した…。
私、あのとき、本当は すっごく怖かったんだ…。』



『朝子ちゃん…。』



『だけどキヨが…
突き放してくれた…。』



『うん…。』



『私…みんなに、あんな酷いことしたのに…。
キヨは許してくれた…。』



『うん…。』



『咲子も…ごめん…。』



『…いいよ。もう泣かないで。』



『ごめ…』



『…私は朝子ちゃん、大好きだよ。』



そう言って、咲子は朝子の頭を優しく撫でた。



『ありがとう…。』



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