すべてはあの花のために⑥
ちらっとツバサの方を見ると、何かを書いて、葵に渡してくれた。
┌ ┐
今月ギリギリまで頑張ってみる。
ダメだったら連絡するから、
一応予定空けておいてくれ。
それまでは、悪い。
待っててくれ。
最後まで、頑張りたいから。
└ ┘
読み終わったあと、視線を感じて顔を上げる。
「(そんな顔されたら。もう何も言えないよ)」
葵はただ頷いて、彼を見守ることにした。
それから欠席のヒナタには触れないまま会議は進み、前年度の資料を見ながら葵はプログラムを作成することになった。
「卒業式もだけど、入学式にも使えるようにしておいたらいいと思う」
少し訂正すればいいようにとのことだったので、葵はちゃちゃっと作成。それから卒業式、入学式のリハーサルもスムーズに済むように資料を作成しておいた。
毎日のように集まって二つの行事の確認をして、毎日のようにトーマからのラブコールを無視してと、大変な日が続いていた。
あっという間に一週間が過ぎ、とうとうツバサも登校しなくなった。
「(ツバサくん。ヒナタくん……)」
今すぐにでも背中を押してあげたい。……でも。
「(待つって決めたんだ)」
今までならズカズカと突っかかっていった。
「(でも今回はそうもいかない)」
残された時間のこともそう。だけど、相手の家に問題がある。
「(信じてる。大丈夫だよツバサくん)」
いつだって背中を押す準備はできてる。
「(……頑張ってね。お兄ちゃん)」
二人の穴を埋めるため、みんなはいつ帰ってきてもいいようにしっかり下準備をしていった。
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