すべてはあの花のために⑥
「わたしはやっぱり、君と友達になりたい」
「…………」
「君が近づいてくるなと言ったのは、このことがあったからでしょう?」
「…………」
「今君はわたしに、話してくれた。全部じゃないかもしれないけど、君のこと知られて、わたしは今嬉しいよ」
「…………」
「……君に聞きたいんだ。ちゃんと、君の口からもう一度聞きたい」
「…………」
「……わたしのこと。最初から友達だって、思ってない……?」
「…………」
「……わたしの話、もう聞いてくれない……?」
「…………」
「わたしのこと。……もう、許してくれない……?」
「…………」
「わたしのこと。……きらい?」
「…………」
「……っ、わたしのこと。まだ、消えて欲しいって。……そう、思ってる……?」
「…………」
ヒナタは葵の視線を、しっかり受け止めているだけで、何も言葉は発さなかった。
「なんでさ、オレにこだわるの」
「え……?」
「オレじゃなくても、他にあんたと友達になりたい奴いっぱいいるじゃん」
「……わたしは、君と友達になりたいんだよ」
「なんで」
「……なんでも」
はっきりしない答えに、ヒナタは僅かに思案顔になる。
「オレがあんたの話聞きたくなくても?」
「うん」
「オレがあんたのこと、許さなくても?」
「うん」
「オレがあんたのこと、嫌いでも?」
「……うん。もしそうだとしても」
「オレがあんたのこと消えて欲しいって思ってても?」
「……そう、思われてもしょうがないからね……」
「は?」
「だからわたしは、君にそう思われててもいいんだ」
「……意味わかんないんだけど。何でここまで拒否されてまで来るの」
「……なんでかな。でもやっぱり君とは友達になりたいんだ」
小さく笑う葵に、ヒナタは眉を顰めた。
「あんたさ、友達いたことなかったんだよね」
「……? ……うん。そう、だね」
「友達ってさ、大事な存在なんだよ」