すべてはあの花のために⑥

 また、葵の唇に噛みつこうとしたその時。――スパコーンッ!! と頭を誰かに叩かれる。


「がっつきすぎ」


 顔を上げると、何故かそこには弟が。しかも手にはスリッパが握られている。


「……邪魔すんな」

「あーあ。オカマの方がよかったと思うのはオレだけじゃないはず」

「何勝手に鍵開けて来てんだよ。今俺がこいつと話してんだ。帰れ」

「は?」

「あ?」


 急に始まった兄弟喧嘩。案の定、組み敷かれた下で葵は慌てていた。


「つ、ツバサくん! みんな片付けしてくれてるんだから、こんなことしてたらダメだよ!」

「だったら違う時ならいいのかよ」

「だ、ダメに決まってるでしょうが! いい加減、離しなさい!」

「ぐはっ!」


 そして、一体どこから取り出したのか。護身用だとかいうハリセンで思い切り打っ叩かれた。


「もう! なんでこんなことするの! 言えないからって、言わないからって襲うなー!」

「しょうがないじゃん好きなんだから」

「オカマ治ったからって暴走しすぎじゃい! もっと理性鍛えてから出直してこい!」

「なっ。ちょ、葵!」


 そして最終的にツバサは、葵にぽ~いと放り投げられて、生徒会室から追い出されたのだった。


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