すべてはあの花のために⑦
((いろんなことがあったね、葵))
「(うん。楽しかった。……この一年、本当に幸せだったよ)」
((女王様の奪還をして))
「(熱海に行って、海に落とされて)」
((執事とアキラを止めてあげて))
「(頑張ったな~体育祭。……資料消されちゃったけど)」
((オタクもさ、ぶん投げてあげてレール、逸れたね))
「(うん。カナデくんのとこのみんなに襲われちゃったけど)」
((いいじゃん。わたしが手伝ってあげたでしょう?))
「(そのせいでチカくんに赤い瞳見られたし)」
((それはご愛敬))
「(そんなんで片付けて欲しくないけど。……文化祭も、怖かったけど楽しかったな)」
((脅迫メールね。でも、無事に終われたじゃん。楽しかったんでしょ?))
「(うん! 最高だった! スタンプラリーも、邪魔されちゃったけど、ツバサくん見つけてあげられたし)」
((ミスコンもバンドも、後夜祭も。……楽しかった?))
「(……うん。ほんと。幸せだった……)」
((エロ……には程遠かったぐらい、めちゃくちゃ純粋な奴だったね))
「(カナデくん? ほんとほんと。……でも、悪いことしちゃった)」
((ユズとコズエ? ……葵は、よく頑張ったよ))
「(……っ)」
((小動物、声出るようになったね。葵のおかげじゃん))
「(わたしのせいで、声が出なかったんだ)」
((……修行、行ったね))
「(結局泣いちゃったけどね。心も崩壊寸前)」
((……ツンデレもさ? 強くなったね。もう寂しくないと思うよ?))
「(……そうだと。いいな……)」
((修学旅行は? ……あ。わたしがちょっと出ちゃったね))
「(もう、アキラくん好きだからって暴走しないでよ)」
((違うし。悪いのはあの飲み物だし))
「(もののせいですか……)」
((……いろいろ、作戦練ったんだね))
「(……アキラくんとのやつ?)」
((それもだけど、シントの解雇も。……強くなったね、葵も))
「(みんなを、守ってあげたかったから……)」
((……クリスマスパーティーも、いろいろゴタゴタしたね))
「(うん。準備も大変だった。……わたしは、何を忘れてるんだろう)」
((大丈夫。あれは、トリガーさえあればちゃんと思い出すから))
「(……なんだろ。そのトリガーが知りたいよね)」
((それは……悪魔くんに聞くしか))
「(あーあ。聞いておけばよかった!)」
((……みんなに説明するの、苦しかったね))
「(アキラくんとのこと? ……うん。つらかった。言えなかった。ううん。言いたく、なかったんだ。言っちゃったら、……どこでわたしがみんなのことを傷つけてきた張本人だって、バレるかわからない)」
((…………))
「(でもちゃんと、バレンタインで言えたから。わたしも、前に進もうと思ってちゃんと伝えたから。……だからもう、これでいいんだよ)」
((……オカマもさ? オカマじゃなくなってよかったね))
「(うん。未だに見慣れないよね。どっちでもいけるもん)」
((悪魔くんも、ほんと不器用))
「(はは。……うん。ビックリだった。話聞いてさ?)」
((でも彼のおかげで、踏み出せたじゃん))
「(ほんと。流石は主だよね~)」
((……カラダ、冷たくなったね))
「(もうわかんないよ)」
((……ごめん))
「(……ほんと。最初っから言ってくれてたらよかったのに)」
((だから、言えなかったんだって))
「(うん。……ずっと。守ってくれて、ありがとう)」
((……っ。守れて。ない……))
「(十分すぎるほど守ってもらったよ~。こんなに自分のこと思ってもらえてると思ってなかったから、……消えてもきっと、大事にしてくれるって信じてるよ)」
((……っ! ……まだ、諦めたらダメ))
「(……うん。そうだね)」
((あ。もうすぐ起きるよ))
「(お! そうか!)」
((エセ王子が起こしに来た))
「(え? そ、それって、もしかしなくともレンくん??)」
((早く起きて! 襲われる~!!))
「(ええぇー!?!? ど、どういうことー!? 最後がこんな感じでいいのー……!?)」