すべてはあの花のために⑦

 それからゆっくり、二人は立ち上がった。


「……あおいさん。そろそろ行きましょうか」


 そう言って、アイは葵に手を伸ばす。


「うん。……迎えに来てくれて、ありがとう。それから。……お誕生日おめでとう。アイくん」


 伸ばされた手の上に、葵はそっと手を重ねる。
 そうしたら彼は泣きそうな顔をして、「ありがとうございます」と。そう言葉にした。


 そしてゆっくりと立ち上がり、お互いの顔を見つめて笑い合った。



「「今日はよろしくお願いします」」


『――初めから、藍がお前の本当の婚約相手だ』









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