元カレを増やさない解決法
「つきあったってどうせ別れるじゃない。『元カレ』が増えるって考えるともういいやってなっちゃう」
「ふうん」
 彼はなにか考えるそぶりを見せて枝豆を口に運ぶ。

 私はぼんやりとそれを見ていた。
 彼って意外に指がきれいだ。大きな手でつままれた枝豆が小さく見える。薄い唇に運ばれた枝豆を口に添えてつるんと食べるさまが妙に色っぽく見えた。

 彼とつきあったら、なんて考えたことがある。
 今と同じように仲良くしていられるのだろうか。
 もし結婚したら……どうなるんだろう。
 だけどそんなことありえない。

「なに見てんの」
「別に」
 私はぱっと目を逸らせた。もし結婚したらなんて考えたなんて、知られたくない。

 それ以上元カレの愚痴を言う気になれなくて、たわいもない話をして私たちは店を出る。

 早春の冷たい風にぶるっと体を震わせると、彼がマフラーをばふっと私の首にかけた。
「使え。風邪ひかれると困る」
 言われて、私はぷっと吹き出す。

「なんだよ」
「ドラマでこんなシーン見た」
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