元カレを増やさない解決法
「あっそ。そのふたり、その後どうなった?」
「なんだかんだでつきあってハッピーエンド」
「そっか」
 彼はちょっと嬉しそうに答えて、それから一緒に駅に向かって歩き出す。

 街路樹の桜は寂し気に枯れ果て、細い枝は頼りなげに星のない夜空に向かって伸びている。星になんて届くわけないのに。
 駅に着くと私は彼に向き直った。路線は違うから、ここでお別れだ。

 大きな桜の木の下で、私は彼に言う。
「今日はありがと、愚痴につきあってくれて」
「いいよそれくらい」
 言葉を切った彼は、なにかを探すように目をさまよわせ、それから続けた。

「さっきの話だけどさ」
「なに?」

「元カレを増やすのが嫌なら、俺と結婚しようぜ」
「はあ!?」
 私は思わず声を上げた。

「結婚したら、元カレは増えないだろ? 最善策だ」
 私は絶句した。論理が無茶苦茶だ。
< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop