すべてはあの花のために❾
オレとレンがそんな会話をしているのを、他の三人は目を点にして見ていた。
「もおー。もうちょっと遊べると思ったのにー」
「最初から止めておけばよかった……」
「ダメだよ。それじゃあアイの覚悟が知れないでしょ?」
「だとしてもアイさんがかわいそうだ」
「え。俺、かわいそうなの……?」
「だって、なんかあいつとちょっと似てていじめたくなるんだって」
「アイさんはあおいさんをどうにかしたいと必死なんだ。人の気持ちを弄ぶな」
「……レン、いつの間にあおいさんのこと名前で呼んでるの」
「ん? ああそうなんだよアイ。聞いてくれるー? ちょっと最近、レンの奴調子に乗っててさー」
「そんな説明よりもすることがあるだろう」
「……レン。何勝手にあおいさんと仲良くなってるの」
「勝手にデートに行ったアイさんに言われたくありません」
「うぐっ……」
「もおー。喧嘩しないのー」
「いや九条くん。いいから教えてくれる?」
「そうですよお。二人で何を隠し事してらっしゃるんですう?」
そう言いながら引っ付いてくるカオルに、コズエ先生は肘鉄を食らわせてた。それもカオルは嬉しそうだったけど。
「(かきかきかき…………)」
「「「「逃げるな!」」」」
その隙を狙って描いていたら、こぞってオレの頭を叩きに来た。
「いったーい。ちゃんと説明するのに必要なのにー」
「だったら最初からそう言え」
「今思ったけど、レンの口調が悪いね」
「レンくんはクラスメイトにはこんな感じですよお? ぼくたちは年上だから敬語なんですぅ」
「だから! そう言いながら引っ付いてくるな……!」
なんだかまたみんな盛り上がってきたから、スケッチブックに描き加えながら話すことにした。
「まあレンには言ったんだけど、あいつの時間が短くなるっていうのは、一日に出てこられる時間のことで」
――え。
「だから、確かに表に出てこられるのは短くなるかもしれないけど、20歳っていうその幅が縮むわけじゃないんだよね」
え。
「だから、いっくらいじめても無理しても、出てこられる時間が短くなるだけで、名字が変わるか20歳になるまであいつは絶対に消えないよ」
……え。
「アイがそこまで言うんだったら手加減はしてやろうと思うけど、これは確かな情報だから、そんなに気負いする必要はないってこと」
えー……。
「だからオレは思う存分いじめちゃいたいってこと。わかった?」
「いやいや、そんな情報信じられないでしょ」
「なんで? 確かな情報だよ?」
「でも、ぼくらはそんなこと聞いてないですう。まあ、家からの情報だけなので、鵜呑みにはできませんかねえ」
「まあ間違ってるわけじゃないからね。勘違いしただけでしょ。ちゃんと聞かずに」
「……じゃあ九条は、その情報をどこから得たんだ。それは私も知らない」
「ちょっと待ってね…………よし。できた」
「何を描いていたの?」