すべてはあの花のために❾
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「(こんなにすぐ。見つかるなんて思わなかった)」


 だって、まわりは常に真っ暗な世界。光なんて差さない世界。


「(希望なんて、持ってなかった。ああ、俺はこうすることしかできないんだって思ってたから)」


 ただの、使えない道具だった。あの時からずっと……。


「(つらかった。もう俺は。このままこの淀んだ黒い世界にしかいられないんだと。……そう、思ってた)」


 ただ、家を出されることが嫌で。ただ、それに縋ったせいでこんな目に遭って。


「(後悔ばっかりだった。いつもいつも。あの時こうしていれば……って)」


 そう思うのが嫌だった。だから俺は、もう後悔しないよう、今できることを。したいことをするようになった。


「(順番はちょっとおかしかったけど、キスもした。告白だってした。デートだってした。……振られちゃったけど。でも、やっと友達になれた)」


 ただ、救いを待ってるだけだった。でも、待っててもどうせ現れないって。どこかで思ってた。


「(でもまさか。こんなにも眩しい“光”が現れるなんて。思わなかった……)」


 黒の世界には白が必要だった。闇を晴らすには光が必要だった。


「(俺の。ありったけの希望を、あの小瓶に詰め込んだ)」


 いつかこの黒を、小さな白い点が叶えてくれるって。そう、願って。


「(……ううん。願うんじゃなくて、信じるんでしたね。あおいさん)」


 だったら俺は、この小さく見えない白を掴んでみよう。
 俺は、この白に全てを任せてみよう。

 ……俺も、この白とともに、綺麗な花を助けよう。



「九条くん。……ううん。ルニくん。もしかしたら役に立たないかもしれない。でも、あおいさんのことを。父さんのことを。俺は諦めたくなんてないんだ」

「…………」

「こんな俺だけど、絶対に役に立ってみせるよ。俺は誰にもつけないんだ。君以外の誰にも。……ううん。つけないんじゃない。つきたいんだ。俺が、他でもない君に」


「だから……」と、そう言いながら俺は膝を手を、床に突く。


「不束者ではありますがあ! よろしくお願いしま――……うぐっ!?」


 頭も床についてそう言ったら。


「なんでどいつもこいつもオレに土下座するんだよ」

「痛い痛いいだい……!」


 めっちゃ後頭部に重みが。しかもグリグリされてる……。


「おい九条!! 今すぐアイさんから足を退けろ!!」

「(あ。足だったんだー……)」

「いやあん! やっぱり九条さんのドSさ! 素晴らしいですうー!!」

「だあー!! 引っ付くなー……!!」


 レンのおかげで、床とのちゅーは中断されたけど、顔を上げた瞬間に彼が俺と距離を詰めてきて。


「次ルニって言ってみろ。ぶっ殺す」

「え(嫌だったの。この名前……)」


 それからすっと距離を取って彼は立ち上がったあと。


「あと、あいつに今のこと一言でも喋ったら、この世から抹殺するから」


 冗談でもなく本気のオーラ全開。めっちゃ怖かった。
 でも、彼女も生きてるなんて知らないだろうし、知ったら泣いて喜ぶと思うのに。


「……お願いだから。絶対に言わないで」


 そう思ってても、今度はつらそうにそう言うもんだから理由なんて聞けなくて。俺らはみんな了承するしかなかった。


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