すべてはあの花のために❾
それから、どうしてこんなことになったのか。オレらが知っていることを話していった。
「わかった。ありがとうツバサくん。……それじゃあ最後。ヒナタくんお願い」
「(はあ。最後、ね……)」
きっと、どこからどこまでを知っているのかっていうのもわかっているんだろう。
「(ま、オレはハナが知らないことも知ってるけどね)」
オレも、みんなが知ってるところまでを話すことにした。
「でも、そいつは本当の五十嵐組じゃない」
ううん。本当はここの人たちなんだ。ハナも、ちょっと顔が歪んでる。わかってるよ。その人たちは、使われたんだって。
でもこう言っておかないと、ハナのことがバレちゃうから。誰かが操っていたっていうのがバレちゃうから。
……だから、オレは嘘を言おう。みんなにも、あの時そう言ったんだから。
そのあと、最後の最後はハナに任せることにした。
カナの顔色も、組の人たちの顔色も、だんだんと変わっていってるのがわかる。みんなと目だけで『よかった』と。そう思ってるのがわかった。
カナも無事成長して、組の奴らの勘違いも晴れたようだ。明日はユズと先生のところに行くらしい……え。
いやいやいや! ヤバいでしょ! 先生いないよ!? 今頃めっちゃあの家で目をつけられて大変だよ!?
「(と、取り敢えずユズには、明日予定を空けとけって言うことにして……)」
先生は……どうする? ど、どうしよう。
「(取り敢えず。先生にもメールを入れておくことにして……)」
電話する。めっちゃ電話しよう。今が一番一大事だ。バレたらごめんけど、こっちもヤバいから。
そんな、オレは一人で焦ってる時に、カナが勝手にあいつに告ったんだけど。こっちは必死なんですけど。勝手に何やってんの? しかも何。ハナ、なんで保留なわけ? 意味わかんないんだけど。
苛々したけど、「……きちんと、考えたい。カナデくんの思いを無下にはできない。したくない」って言う発言で、『あ。多分オレのせいだ』ってわかったけど。
「(ま、ハナがそういう気持ちを無視するんじゃなくて、向き合ってくれるようになっただけで一歩前進か……)」
ちらりとキサがこっちを見た気がするけど、無視無視。だってバレるじゃんね。あれつけたのがオレだって。
「(いつかは、自分に向けられてるたくさんの好意にも気づけるといいね。ハナ)」
そうしたら、きっといろいろ変わるだろう。
……オレはもう、変わらない。変わっちゃ、いけないから。
それから今日はここに泊めてもらうことになって、女子たちが先に風呂へ行っている間各々いろんなことをしていた。
「ちょっといいですか」
「ん? おーヒナタくんか」
「どしたん? なんか用事?」
その間にオレは、シオンさんとマサキさんに本当の話をすることにした。